10月20日(火)静岡市美術館にて、ワタリドリ計画さんのアーティストトークが開催されました。ワタリドリ計画は、麻生知子さんと武内明子さんによるアートプロジェクトです。
2009年から活動をし、これまで20箇所以上で展示をして来ました。まるで渡り鳥が餌を求めて暖かい場所に行くように、様々な場所で展覧会をしています。
今回の展示は、静岡市美術館の前身である静岡アートギャラリーでの展示以来、11年ぶりの静岡での展示です。
二人で旅をし、手彩色という技法で、作品を制作しています。風景写真を白黒で撮り、その時に印象的だったものを考えながら、プリントした写真の上から油彩で着色をしています。同じ技法を使っていても、旅先によって展覧会の雰囲気が変わるそうです。
ワタリドリ計画のお二人は、今回の取材旅の帰路で、初めて大きな富士山を見たといいます。
また、アーティストトークの日は、少し雪がかかった綺麗な富士山が見られました。
富士山の景色に感動していただけたようで、静岡県民として少し嬉しかったです。
また、お二人は、コロナ禍により、自分がその場所に行くことが旅だと実感したそうです。
お二人は今回の旅で、たいへん立派なソテツが有名な、静岡県吉田町の能満寺を訪れました。
言い伝えによると、かつて徳川家康が能満寺を訪れた際に、能満寺のソテツに感銘を受け、掘り返して駿府城へと持ち帰ったそうです。
すると、お城の中から泣き声が聞こえます。それは故郷の能満寺が恋しくて泣くソテツの声だったのです。家康はかわいそうに思い、ソテツを能満寺に返したそうです。
今回の展示ではワタリドリ計画のお二人が能満寺の縁側でくつろいでいる手彩色絵葉書とともに、油彩画や陶器製のソテツの木が展示されました。
お二人は、静岡の梅ヶ島温泉にも訪れたそうです。
老舗の温泉宿、泉屋旅館に泊まった日は、大雨が降り、全身びしょ濡れ。なおかつ県外から訪れたお二人でしたが、旅館の方達は快く対応してくださったそうです。翌朝、濡れていた靴の中に新聞紙を入れて乾かしてくれてあったなど、とても心あたたまるエピソードもありました。
梅ヶ島温泉での体験は、絵葉書や陶器の作品となって展示されました。
今回、お二人は、自分たちのことを、食事とおやつの関係だとおっしゃっていました。
片方だけだと、何か物足りない、どちらも頑固に支え合っている、とのこと。
あたらしい発見を見つけ、日々前進し続けるお二人がとても魅力的でした。
杉浦百々加(めぐるりアート静岡サポートスタッフ/常葉大学造形学部4年)
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