岩野さん×こどもなーとWS『ゆびえのぐ de 富士山』、巨大なカラフル富士山がヒロバに出現!!!

めぐるり会期中、たくさんの作品が設置され多くの方々で賑わった東静岡ヒロバ。

同会場では、11/3(日),4(月)の連休2日間に渡り、彫刻家・岩野勝人(まさひと)さんワークショップ『ゆびえのぐ de 富士山』を開催!!

数々の作品ひしめくヒロバを、さらにカラフルに彩り大いに賑わせくれました!

岩野さんは今年度、10/ 20(日) にワークショップ第一弾となる『くもならべ』を開催。

皆様で作り上げた完成作は会期中コンテナ・ギャラリーにて公開され、コンテナの中を埋め尽くす、巨大な『雲』の中の探検を、たくさんの方々がお楽しみ下さいました。

そして第二弾となる今回も、それに負けない巨大でカラフルな作品に皆で挑戦!!

今回舞台となるのは、ヒロバ会場に点在するいくつかの小山のひとつ。

ヒロバの小山にシートを掛けて、立体のキャンバスに見立てたその場所に描き上げるのは『ヒロバの富士山』!

指や体全体を使って色を体感しながら、「ゆびえのぐ」を使って描くというこの富士山。

構想段階では下のようなスケッチが描かれていたこのワークショップ、果たして一体どんな作品が作り上げられるのでしょうか!?

そして今回、岩野さんとともにワークショップを進行するのは、大阪で子どものためのアトリエと保育施設を主宰する、和泉 誠(いずみ まこと)さん。

アートな保育として注目される保育施設「こどもなーと」を運営する和泉さんを講師にお迎えし、さらには『アトリエスタ』と呼ばれる、こどもなーとのスタッフの皆様もアシスタントとしてワークショップにご参加!

毎年、めぐるりでは得意の金属を用いた彫刻などをご披露してくださる岩野さんですが、実は地元の京都の学校では、幼児保育に関する講義も受け持っているとか。

岩野さん×こどもなーと、アート&幼児教育のふたりのプロフィッショナルがコンビを組んでの、このコラボレーション・ワークショップに、ワクワクと膨らむ期待感!

開催日の前々日、一足早く静岡入りしてワークショップの下準備を開始する岩野さん。

キャンバスとなる白色のシートをヒロバの小山に被せてみると、想像以上の大きさに岩野さんご自身もビックリ!

何枚ものシートを重ね合わせ、ようやくキャンバスが完成したのは翌日の午後。

キャンバス作りをサポートして下さった皆様と一枚パシャリと撮影してみると、この迫力の巨大感!!

このキャンバスに自由にお絵かきが出来ると思うと、想像するだけで興奮せずにはいられません!

そしてはるばる大阪より、和泉さんとアトリエスタの皆様もヒロバに到着!

さっそく岩野さんと合流し、本番にて使用する「ゆびえのぐ」の調合を開始します。

「ゆびえのぐ」はその名の通り、指や手を使って直接描くことが出来る特別な絵の具。

小さなお子さんでも安心して使えるよう配慮されていて、また描いたときの指の跡がしっかりと残るように作られているのも大きな特徴。

そのため元々強い粘り気を持った「ゆびえのぐ」ですが、さらに今回はそこに造形用のデンプンのりをミックス!

たっぷりと加えられたデンプンのりですが、実はコレ、最近流行りの「タピオカ」の原料!!

人気のタピオカのまさかの正体にもビックリですが、それを加えて出来上がったオリジナルの「ゆびえのぐ」を見てみるとさらにビックリ!

両者をしっかりと混ぜ合わせ完成したのは、ぷるぷるとした、見たこともない独特の質感の不思議な絵の具。

そのぷるぷる具合を見ると、確かにあのタピオカの原料というお話にも納得!

一体この絵の具でどんな絵が描けるのかは、本番のお楽しみ!

そして迎えた11/3(日)、いよいよワークショップ1日目が開始されました!

この日はおよそ30名もの皆様が、この巨大な富士山をカラフルに描きに集合してくださり、いつにも増してヒロバ会場は大賑わい。

まずは富士山に登ってみて、立体キャンバスの高さや感触、上からの眺めなどを皆で体験!

見上げるほどの大きさの富士山に登ってみると、そこからの眺めはまた格別!

ヒロバを遠くまで眺められる見晴らしに、ふかふかとした感触の足元には、どこまでも真っ白に広がっている、真っさらで巨大な見たこともない立体のキャンバス。

もう待ちきれない様子の子ども達、富士山のふもとに並べられた、色とりどりのオリジナルのゆびえのぐからお気に入りの色を選んだら、さあ一斉にお絵かきスタート!!!

大興奮で富士山に登り、思い思いのそれぞれの場所でお絵かきを開始する子ども達!

歩き回ったり登ったり、これだけの人数がのびのびお絵かきに取り掛かっても、特製の立体キャンバスはまだまだ広々。

どれだけ描いても描ききれないような巨大なこのキャンバス、どんなお絵かきの楽しみ方をするのかは完全に皆の自由!

それでも全く戸惑うことなく、描き始めた子ども達の手は、休むこともなく止まりません。

指を使って、手を使って、思い思いの方法で、いろんな場所で夢中になってキャンバスに描き続けます。

描かれた線を見て気付くのは、凸凹とした立体感を持つ独特の描き跡。

描いた線がひとつひとつ、しっかりと指跡を残すのが今回主役のゆびえのぐの大きな特徴!

そんなゆびえのぐの特性は、キャンバスの上を動き回り、全身でお絵かきをする今回のワークショップにまさにうってつけ。

指だけでなく、まるで体全身がお絵かきの道具になったかのように、皆の動いた痕跡が描き跡となって、真っ白なキャンバスに次々と残されていきます。

だんだんとカラフルに色付いていく富士山。

するとあちこちでお絵かきをする子ども達の動きにも、とある変化が。

なにしろこの立体の富士山のカタチ、お絵かきが進んでいくに連れ、絵の具のついた山の斜面がとにかく滑り、まるで全体が滑り台のような状態に変身!!

うっかり油断すると、ふもとまで滑り落ちていってしまうキャンバスに、あちこちで声を上げながらツルツルと滑り落ちてしまう子ども達が続出!!

ですがそんな滑った跡も、このワークショップでは貴重な活動の記録。

おしりの跡も、頑張って登ろうと動き回って手を付いた跡も、全てがカラフルな痕跡になって富士山に美しく描かれていきます。

中には皆で協力し、手を取り合ってツルツルの富士山のてっぺんを目指すという場面も!

そんな名シーンが生まれるのも、絵の具の上を歩き回るこの立体キャンバスならでは!!!

普段のお絵かきなら絶対に起こらないような体験を次々と巻き起こしながら、富士山の上、思い切り楽しむ子ども達。

そしてワークショップは2日目に突入!!

この日、眩しい日差しに照らされた富士山は、1日目とはまた随分と異なる雰囲気。

そして集まってくれたのは、1日目をさらに超える40名もの皆様!

昨日の活動の痕跡がカラフルに残る富士山に登り、バツグンの眺めを楽しんだら、この日もお絵かきのスタート!!

はじめはパレット代わりのお皿から少しずつ絵の具を取っていた子ども達も、この日も気付けば全身いつのまにやら絵の具まみれ!

なにしろ今回のワークショップのご案内には、他ではなかなかお目にかかることのない「かなり汚れてもいい服装でお越しください」の一文。

それでもまさか、ここまで自分たちまで全身カラフルになるとは、きっと予想外!

ですがそれさえも楽しさに変えて、夢中になって描き続ける子ども達の様子を見ていると、思わずこちらまで一緒になって描きたいと全身がウズウズとしてきます。

そして実はこの2日間のワークショップでは、富士山の隣りに巨大シャボン玉のコーナーも登場!!

こどもなーとさんが調合したオリジナルの液から生まれるシャボン玉は超!巨大!!

さらには巨大シャボン玉にチャレンジするのも、富士山で最後まで目いっぱいお絵かきを楽しむのも、それぞれの自由。 

色鮮やかな富士山に、キラキラと輝くシャボン玉も加わり、青空の下、元気いっぱいにのびのびと楽しむ子ども達の姿。たくさんのカラフルな写真でお楽しみください!

1日目に描かれた色彩とも重なり合い、すっかり全体がカラフルに色付いた富士山キャンバス。

巨大シャボン玉も思い切り楽しみ、富士山の前に集合すると最後の仕上げ。

登場したのは、ギザギザのカタチをしたシート。

富士山の上に載せられて、真っ白な雪を被った富士山に変身!!

最後は皆で、記念写真をパシャリ!!

そうして完成した富士山は、そのまま『めぐるり』会期中、ヒロバにて皆様に公開。

雪のシートは青色の縁取りに置き換え、ご来場の皆様にも自由に登って頂くことが出来る体感型の展示に。

これにより大きく雰囲気を変えたヒロバ会場では、より一層多くの皆様が作品の前でふと足を止め、興味深く眺め鑑賞してくださる姿が。

富士山の山頂にも大勢の皆様が登ってくださり、2日間の活動によって描かれたたくさんの痕跡、また作品溢れるヒロバ全体を見渡せる頂上からの素晴らしい眺めを、たっぷりとお楽しみくださいました。

全身で絵の具と触れ合いながら、まさに五感をフルに使って、思う存分自由に描き・遊ぶことの楽しさを味わわせてくれた今回のワークショップ。

開催に先立って行われたアーティスト・トークでは、

「子どもの頃に、こうして思い切り自由に楽しんだ経験は、いつか必ず役に立ってくる」

と岩野さん。

その実現に向け、こどもなーとの和泉さん、そしてアトリエスタの皆さんのお力も合わさり、まさにそんな素晴らしい体験の場が、このめぐるりのヒロバ会場に生まれることとなりました。

「ヒロバはやっぱり人の集まる場所。ここに来ればなにかやっているな、 何か いろいろあるだろうな、という期待と希望の溢れた空間になれば、自然にヒロバとして自立していってくれるのでは」

ヒロバを静岡の新たなアートの発信地にするべく、年間を通してコンテナ・アートベースプロジェクトなどの取り組みも進めている岩野さんは、そう思いを語ります。

そんな岩野さんの思いが、着実にこの場所に根付き始めていることを感じたのは、ワークショップを終えてふとこくばんコンテナのお絵かきコーナーを見たとき。

そこには、開始前にはなかったハズのたくさんの富士山!!!

すぐそばを走る新幹線と一緒に描かれていたり、開けた扉の向こうの富士山と並ぶように描かれていたり。

きっとここでもたくさんの子ども達が、賑わうワークショップを眺めながら、それぞれに楽しみを共有していた・・・、

そんなことを教えてくれた、このステキな出来事を思うと、

「いつかこの静岡の皆さんが自分たちで、この場所やアートベースで何かを始めるようになってくれたら。今年のワークショップでそんなキッカケが生まれてくれれば」

という岩野さんの思いが、きっとたくさんの方々に届いているのだと信じずにはいられません。

今回のふたつのワークショップを通して、この場所で思う存分に楽しみ、さらに自分たちで作り上げたものが作品として会場に展示された経験は、ヒロバ、そして『めぐるり』をより身近なものとして感じてくれるキッカケにもなったハズ。

数年前、このヒロバがめぐるり会場のひとつとして加えられることになった当初から構想に加わり、人々の集まる場所作りを続けてきた岩野さん。

そこで思い描いていた姿へと、少しずつ、けれど着実に近付いているヒロバのこれからが、大変に楽しみです!!!

(文・吉村友利)

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